【BUYSS labo 01 / Episode 029】
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今回は糸の種類(どんな構造の糸か?)による特徴の話です。
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たぴぞうは糸結びで使う糸をどうやって決めてる??
![たぴぞう](https://www.buysslabo01.com/wp-content/uploads/2021/02/drink_tapioka_tea_schoolboy.png)
ノリです!
外科の先生に、そう教えられました!!
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😅まぁ・・・やっていくうちに何となく感覚的なノリが身につくけど
こういう意図で、こういう理由で、この選択をしているっていう
根拠が自分なりに説明出来るようになりましょう❗❗
構造による糸の違い
糸には 吸収糸 と 非吸収糸 のように素材による違いもありますが
まずは、構造による違いを理解しましょう。
編糸(ブレイド)
編糸はパッケージに
BRAID とか BRAIDED とか書いてあります。
要は、細い繊維を編んで作ってある糸です。
細かな繊維が編まれているため
表面は1本1本の繊維の凹凸が反映されて
少しザラザラした感じになっています(コーティングされているものもあります)
また、
細い繊維が集まったものなので
基本的には柔らかく
伸縮性もあるため
『しなやか』な印象になります。
![](https://www.buysslabo01.com/wp-content/uploads/2021/10/01419094f093ce75d2db986568f094e4-1024x674.jpg)
こんな感じで『撚り』をかけると
ねじれの力を吸収しつつ撚れていきます。
結び目を作ったときに
しなやかに変化しながら糸自体も伸縮するので
最終的に結び目が『ギュッ』と締まった最小のものになります。
![](https://www.buysslabo01.com/wp-content/uploads/2021/10/e2c83c4ce9bb6bffd10916fa42369371-1024x792.jpg)
一方で
ザラザラした表面のテクスチャーは
粘膜や柔らかい組織にとっては『ヤスリ』と同じです。
刺通した際に 強く引っ張るようなことをすると
粘膜を傷めたり剥離されてしまったりするので
注意が必要です。
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単糸(モノフィラメント)
その名の通り
1本の単一の繊維でできています。
ナイロンとかPDSとか・・・
モノ○○ などという商品名のものもそうです。
1本の繊維なので
表面はツルツルしていますが
構造的には素材としての弾性があるのみで
しなやかさ には欠けます
![](https://www.buysslabo01.com/wp-content/uploads/2021/10/98e290932b0604c39cf001d6aa649de5-1024x683.jpg)
撚りをかけていっても こんな感じで跳ね返されます
なので
結び目を小さくしようとしても
弾性によって小さくすることが難しく
表面のツルツルと相まって
結び目には絶えず「ほどける力」がかかりやすくなります
また
表面がツルツルしていることにより
柔らかい組織に対しては
抵抗がなく 食い込んでいってしまいます
脆弱な組織や剛性に欠ける組織を
強く縛りに行くと・・・
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モノフィラメントで組織を剪断してしまう
『羊羹切り』・・・通称です
という現象が起こるので注意が必要です。
![](https://www.buysslabo01.com/wp-content/uploads/2021/10/044c50372e0dbac274f7ba201d6840ee-1024x768.png)
ブレイド で ロック をかける
![所長](https://www.buysslabo01.com/wp-content/uploads/2021/02/2d007be02e30a3fc2c5049ce506088cd.png)
ブレイドを使うと
その材質・構造の特性から 対象物の弾性を利用して
勝手に ロック がかかりやすくなります。
この勝手にかかるロックを BUYSS labo では オートロック と呼んでいます。
対象物にはそれなりに弾性があるはずなので
第一結紮で ある程度締めていくと
対象物の弾性 = ループを拡げようとする力 と
糸の表面の抵抗 = その場にとどまろうとする力 が
綱引きを始めます。
この時、糸がブレイドだと
抵抗が大きく さらに 糸の弾力も加わるので
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この写真の 右手中指 と 結び目 との間に
赤・黄 それぞれの糸が挟まった状態になります。
そこで、糸の抵抗が強いと
赤・黄 それぞれの糸に力を加えない限り
結び目はその場にとどまります
これを BUYSS labo 01 では
勝手にかかるロックという意味で
オートロック と呼んでいます。
![](https://www.buysslabo01.com/wp-content/uploads/2021/10/88d0c19b04e366ac750021300fe1cf7b-1024x759.jpg)
ということで・・・
- ループを最小まで締め込める ⇒ 順目
- オートロックがかかりやすい ⇒ ブレイド
- 結び目がキッチリ固定できる ⇒ 男結び
で完璧じゃん!!
![](https://www.buysslabo01.com/wp-content/uploads/2021/10/6e647834cbc3ea79a523cfb2c4169d4e-1024x664.jpg)
![たぴぞう](https://www.buysslabo01.com/wp-content/uploads/2021/02/drink_tapioka_tea_schoolboy.png)
順目 ブレイド 男結び 一択ですね❗❗所長!
・・・とはならないのが 糸結びの『沼』なのですが・・・
![所長](https://www.buysslabo01.com/wp-content/uploads/2021/02/2d007be02e30a3fc2c5049ce506088cd.png)
あえてモノフィラメントを使うシチュエーションについては
改めて 理由も含めて解説しますね。
糸は異物である
もう一つ、考えるべき点は
糸は身体にとって『異物』だということです。
特に 編糸(ブレイド)は細かな繊維を編んでいるが故に
糸の中に浸出液がしみこんでいきます。
ココに感染を起こしやすいのと
表面がザラザラしていることで
組織との間に炎症を起こしやすくなります。
ブレイドを体表に出る糸として使用すると
刺入部の炎症が強くなり
感染や瘢痕形成の原因となります。
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よほどの理由(絶対位置の変わってはいけないドレーンの固定など)が無い限り
体表に出る糸は モノフィラメント を使います。
解説動画
次回は
今回出てきた オートロック に加え
皆さんが よくわかっていないのではないか?? と感じる
![](https://www.buysslabo01.com/wp-content/uploads/2021/10/4fac916f326a06381ddc6932bd352ab4-1024x689.jpg)
ロックについて 解説していきます
![所長](https://www.buysslabo01.com/wp-content/uploads/2021/02/2d007be02e30a3fc2c5049ce506088cd.png)
何となく『やらされていたこと』に
理由が付いてくると、面白くなってきませんか??
![たぴぞう](https://www.buysslabo01.com/wp-content/uploads/2021/02/drink_tapioka_tea_schoolboy.png)
研修医に ドヤりたくなります!
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・・・・
ちゃんと 示指の滑車 で糸を送れるようになってからにしろな。。。
今後、糸結びの『作法』的な解説もしていきますが
やはり
美しい糸結び
を目指したいところです。
まずは
『示指の滑車』を使いこなせるように練習して下さいネ。
示指の滑車とは?? という方は↓↓のリンクから。
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